このページでは、旅行には無関係なものの、
海外生活をしていて感じた事や体験した事などをつづってみたいと思います。内容は、日常生活や仕事面での事など身近な話題にするつもりですが
「○○はどうなの?」みたいな質問やリクエストがあれば、取り上げていきたいと思います。
■お葬式 ■ハローウィン ■ブライダル・シャワー ■禁煙 ■クリスマス準備編 ■身障者 ■運転免許 ■コンドミニアムとアパート ■クリスマス
■祝日と祝日労働 ■ブライダル・レジストリー
■経口避妊薬 ■コンセントとプラグ ■カナダの公用語 ■チップ ■オフィスマナーの比較
その1 お葬式
今日10月26日、親戚のおばあさん(95才)のお葬式があった。彼女は私の夫(中国系で2世)の父の兄弟の奥さん?らしい・・・。おばあさんは在カナダ30年以上だったが英語を解さない人で、かつ、仏教徒であったろうと思われるが(クリスチャンではなかった)、葬儀は何故かキリスト教式で行われた。これはクリスチャンでなかった私の義理の母が、50代の若さで亡くなった時も同じだった。
それでは、キリスト教式のお葬式がどんな風に行われるのか?について、私が体験した事をお話しよう。
葬式は英語でFuneral、葬儀はFuneral Hallと呼ばれる葬儀場で行われる。随分と昔の話だが、Funeral
Home(HallもHomeも同じ)が主人公の家だった「My
Girl」という映画があったが、まぁ、あんな感じである。
Funeral
Hallの入り口で記帳が行われる。でも、日本のように形式ばってはいない。結婚式で使うのと似たようなゲストブックに、参列者がボールペンで名前を記入するだけである。現在の私の姓も亡くなった方の姓も中国の姓で「司徒」と書くが、「司徒○○夫婦」と記帳されているのが目立った。中国ではそんな風に書くんだろう・・・。
棺(英語でCasket)はホールの一番前中央に置かれ、花束が棺の上に載せられている。棺だが、元イギリス皇太子妃ダイアナの葬儀などでご覧になった方も多いと思う。日本の棺おけに比べるとひと回りは大きい。蓋がアーチ状になっているので高さもある。蓋は中央で別れていて片方だけ開けることもできる。つまり、顔がある方の半分だけ開けておけるわけだ。側面には手すり棒のようなものが付いていて、これは棺を運ぶ際に使われる。内部は布できれいに装飾されていて、王様の馬車の内装のようだ。以前、家具職人のある人が「家具はなかなか売れないので、棺を作っている
」と言っていたが、本当に高級な家具のような作りである。1つ何千ドルもするらしい・・・。
牧師さんが話を始める。今日は広東語と英語の両方で行われた。途中2回、知らない白人女性がソプラノの美しい声で讃美歌か何かをソロで歌った(義理の母の時、これはなかった)。そして牧師さんが祈りを捧げる。最後に1人1人順番に棺の前に立ち止まって、最後のお別れをする(殆どの人は無言)。中国の習慣か?棺に向かって日本式のお辞儀を深々と3回する人も何人かいた。ここまでおよそ30分位かかる。
棺を霊柩車に運ぶ。親族の男性が白い手袋をはめ8人掛りで行う。故人の直接の家族は
Funeral Hall が用意した黒塗りのリムジンに乗り、霊柩車の後に続く。
墓地(Cemetery)に到着。墓地は一面緑の芝生で、遠くから見ると公園のように見える。白手袋の男性達が棺をお墓まで運ぶ。参列者もそれに続く。
お墓の位置には予めきれいな長方形の穴が彫られていて、穴の周りには棺を下に降ろす装置があり、取りあえず棺はその上に置かれる。もう1度、牧師さんが祈りを捧げる。中に土が入っているステンレス製の小箱があり、参列者は順番に小箱から土をつかみ棺の上に振り掛ける。そして棺が穴の中に降ろされる。
土を振り掛ける習慣だが、「スパイダーマン」の映画の中でピーターの叔父さんのお葬式の際にもそういう場面があった。また、棺は直接に穴の中に入れられのではない。深さ2メートル位の穴の底には石でできた箱のような物が置かれており、棺はその石の箱の中に収められる。今日は雨だったからか?穴の底には水が溜まっていた。
他に方法が無いのだから仕方がないが、ミニクレーン車が沢山のお墓を踏みつけながら芝生の上を走ってくる。クレーン車とシャベルカーの登場にはショックだったが、人間がシャベルを使って埋めるなんていうのは、時間と労力の無駄なんだろう。
クレーンで石の箱の蓋を穴の中に降ろし、棺は箱の中に密封される。今度はシャベルカーがやってきた。これも予め用意されてあった土の小山があって、シャベルカーが穴の中をドンドンと埋めていく。穴がふさがれた後は芝生が植えられるが、既にどこかで作られた芝生が小さくカットされていて、それを土の上に載せるといった感じだ。全ては30分位で終わる。
ここから後は、キリスト教ではなく中国の習慣にのっとって行われた。
葬儀のあとには必ずディナーに行くようだ。行き先は中華レストランだが、故人の家族が皆にごちそうする。私は日本で葬儀に出席した経験がないが、確か日本ではお酒も出て、結構にぎやかなのではないだろうか?中国式は普通に食事をするだけだ。
全てが終わり故人の家に戻る(入る)時、玄関ではバケツの中で何かが燃やされていて煙がでている。私達はそれをまたいで家に入らなければいけない。厄払いみたいなものだろうか?
ちなみに白人社会のキリスト教でも中国の慣習でも、日本の香典に当たるものは無い。何かを渡すとしたら切り花のバスケットかカードである。喪服と呼ばれるものも無い。葬儀に参列する人の服装も、ダークカラーのスーツの人もあれば普段着の人がいたりする。私は日本で入学式のために買った紺色のスーツを着た。これは結婚式でも同じで、目を見張るようなドレスで参加する人も多いが、普段着にカーディガンを羽織って来るような人も少なくないのである。
2002年5月 更新
2005年5月4日 更新
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その2 ハローウィン
10月31日はハローウィンである。最近は日本でもハローウィンが身近になったようだが、カナダでのハローウィンの過ごし方を紹介しようと思う。
まず、ハローウィンは祝日ではないので学校や仕事は通常通りである。
ハローウィンと言えば仮装を思い付くが、子供達の場合、学校には普通の服装で出かける(小学校低学年のクラスや学校によっては、仮装用の服を持参する)。学校は3時に終わるが、仮装をして本格的に「Trick
and Treat」に周るのは外が暗くなってから、午後6時〜8時位の間である。「Trick and
Treat」(トリック・アンド・トリート)とは、子供達がキャンディーをもらうため各家の戸口で言うセリフである。「いたずらして欲しい?
それともお菓子頂戴!」とでも言う意味なんだろう。
子供達は安全の為、大人の付き添いのもとに近所の家々のドアを叩く。キャンディーを用意している家は玄関先にカボチャの飾り付けをしているので一目瞭然だが、これがそのカボチャである。1個3ドル99セントとなっている。
このカボチャ、中味がドロドロしており、日本人が食するカボチャとは全然違う。中味をくり抜いた後、前面に模様を彫り、中にロウソクを入れて提灯のようにする。
「Trick and Treat!」子供達が呪文を唱えると、キャンディーがもらえるというわけだ。仮装を変えて、同じ家に2回もらいに来る子もいるらしい。キャンディーをくれなかった家には”Trick”をしてもいい事になっているらしいが、実際にドアに生卵を投げつけるなんて事をするのは、ごく一部の悪ガキどもだけである。
さて、ハローウィン用のキャンディーはひと口サイズに1つ1つ包装されている物で、この季節スーパーやドラッグストアに山積みされている。普通、何処のお店でもハローウィンの次の日には半額になるので、この時期に日本から来られる方は義理土産にちょうどいいかもしれない。
さて、大人の場合、もちろん仮装しても「Trick and
Treat」に行ったりはしない。「Trick and Treat」 は小学生位の年齢までだ。大人は夜、ハローウィン・パーティーに出かける。職場によっては仮装を許可している会社や仮装コンテストをしている所もあるので、そういうのが好きな人は面白い服装をして来る。頭にちょっと目立つ飾りをしている程度の人から、ここはパーティー会場か?と思う程の凝ったコスチュームを着て来る人まで様々だ。
夜になるとダウンタウンなどでは仮装をした人が街を練り歩く。ちょっと後ずさりしてしまいそうな恐い仮装の人もいる。そして花火が上がる。とはいっても個人が上げる小規模な物だが、あちこちでバンバーンと聞こえてくる。こうしてハローウィンの夜は終わる。
翌日、たいていの場合、会社の休憩室はキャンディーだらけになる。余ったキャンディーを皆が持って来るからだ。
2001年10月31日 作成
2005年05月04日 更新
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ハローウィン番外編
今日11月4日付けの地元の新聞
The Provinceで、ある4歳の女の子が死亡した記事を読んだ。ヘッドラインは「Was
she poisoned? They still don’t know」で、日本語にすると「毒殺か?謎である」とでも言えばいいだろうか?
ハローウィンの夜、その女の子は母親に連れられて、姉2人と一緒に「Trick
and
Treat」に出かけたが、家に帰って来てキャンディーを食べ始めたところ、しばらくして気持ちが悪くなり病院に行ったものの、次の日に彼女は亡くなった。女の子は健康で、食物アレルギーなどもなかったそうである。
毒入りキャンディーを食べたのか?詳しい事は分っていないようだが、警察は殺人事件の可能性もあるとして、6人の警察官を動員し捜査しているそうだ。また、保護者に対しては「ハローウィンのキャンディーは処分する」よう警告している。
このような問題は、何も今になって始まったものではない。以前にも、お菓子の包みに刃物が入っていた等の話は聞いたことがある。「Trick and
Treat」に出かけるのは、近所の限られた家々だとはいっても、集めてきた沢山のお菓子の1つ1つの出所を子供が覚えているわけもなく、「子供達は何処の誰にもらったかも分からないお菓子を食べている」と言えなくもない。
「Trick and Treat」は子供達にとって楽しみなものに違いないが、時代の移り変わりと共に、「お菓子をもらいに歩きに周る」というのは安全ではなくなってきているようだ。夜暗くなってから家々を訪問するのを避け、放課後、ショッピングモールに繰り出す子供達の姿も多い。同じように仮装しているが、「Trick
and Treat」に周るのは個人の家ではなくショッピング・モール内のお店である。ショッピング・センターなら明るいし、お店は隣合っているのであまり歩かなくても済む。雨が降っても濡れないし楽チンなんだろう。お店の方も予めお菓子を用意していて子供達を迎える。
ある歯医者さんが「ハローウィンにはキャンディーではなく、何か別の物をあげる」と言っていたが、確かに毒が入っていなくても、1日にして何10個もお菓子をもらえてしまうハローウィンの習慣は体や歯にも良くないと思う。
2001年11月4日 作成
その3 ブライダル・シャワー
ブライダル・シャワー( Bridal Shower )をご存知だろうか?
結婚を目前に控えた女性をお祝いするために、女性だけで行うパーティーである。普通、友人の家等で行われる。参加者それぞれが食べ物を持ち寄り、おしゃべりをしながら楽しむのである。
まず、ブライダル・シャワーで重要なのは、当人にシャワーのことを気付かれないようにする点である。つまり、ビックリさせたいのだ。私の時は当日友達が私を誘い出し「xxxxxさんの家に行こう」と言った。何の疑問も持たずにその人の家に行きドアを開けると、そこには20〜30人くらいの人が待ち受けていて本当にびっくりした。当時、私はシャワーという習慣も言葉も知らなかったし、そういうお祝いをしてもらえるという期待すらしていなかったので、本当に感激した。
シャワーに出席する人はプレゼントの包みを持参する。シャワー用のプレゼントは結婚式用の物と比べると値段も安めで簡単なものが多い。私はタオルや小さな電気ヤカン、調理用のボールやボディー・クリームのセットなどを頂いた記憶がある。
私がプレゼントを開くのを「あ〜、可愛い!」とか言いながら参加者が見守る。包みには小さなカードが添えられているので、誰からのプレゼントか分るようになっている。ちなみに言い訳っぽいが、この写真は普通の写真をデジカメで撮り直したものなので画像が横に広がっている。実際の私はこんなに太ってはいない・・・。
シャワーは普通、2〜3時間で終わる。また、他にBaby
Showerというものもある。文字通り生まれたばかりの赤ちゃんの為のシャワーである。で、シャワーのお返しには(結婚式も同様)参加してくれた人ひとりひとりに「Thank
You Card」を渡すだけ。日本のようなお返しの習慣はない。
2001年11月13日 作成
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その4 禁煙
私の記憶が正しければ、バンクーバー市では2000年1月より公共の建物内での喫煙が禁止になった。喫煙が原因とされる病気に払われる州の保険料をセーブするためである。
それまではレストランに行けばSmoking かNon Smokingか必ず聞かれてから席に通されたのが、現在はレストランも全席禁煙。それではお客は何処でタバコを吸うのか?お店の外だ。食後はタバコが吸いたくなるらしく、ドアの向こうでプカプカやっている人をよく見かける。
仕事場も禁煙だ。自分の机だからといってオフィス内でタバコを吸うことはできない。ではどうするかと言うと、やはり外に出て吸うしかない。オフィス・ビルが立ち並ぶ道路では、背広を着た男性やスーツ姿の女性達が、固まってプカプカしている光景をよく目にする。雨が降ろうと雪が降ろうと嵐のような天気だろうが、寒い中、コートを着てタバコを吸っている姿は、禁煙の私から見ると「止めれば良いのに」とも思う。
が、2001年1月には前面的に禁煙となったバンクーバー市と近隣の市(グレーター・バンクーバーと呼ぶ)も、その後変化しつつあるようだ。特にバーでは禁煙になってからお客が減った為、喫煙をOKしている所もある。お客が減ればチップも減るというわけで、バーのウエイトレスは禁煙に大反対なのだ。
カジノもしかり。今のところバンクーバー市にあるカジノは全て禁煙だが、隣の市のカジノでは喫煙可(注)だったりする。法律的にはどうなのか?はっきりしない部分が多いが、お店側が勝手に許可しているというような感じも拭えない。(注)その後2002年5月1日をもって、州法により今まで喫煙可能だった幾つかのカジノも全て禁煙になった。
カナダ政府としての姿勢は喫煙には反対らしい。そのせいか?カナダのタバコの値段は高い。バンクーバーでは、1箱5ドル50セント位から7ドル50セント位(2004年1月現在、1箱9ドル前後)の値段で売られている。高い方の値段は、バーとかカジノで買う場合の金額である。そのため、国境を渡りアメリカに行って安くタバコを買ったりするが、カナダ入国の際にタバコが発見されると非常に高い関税その他を取られ、結果的には高くついてしまうらしい。また、カナダのタバコのパッケージには口腔ガンの写真とか、タバコのヤニで茶色くなった汚い歯の写真が載せられていて、「タバコを吸うとこうなるぞ!」みたいな文句が書かれている。
当たり前の話だが、タバコを未成年者に売ることは法律で禁じられている。ブリティッシュ・コロンビア州では19歳で成年となるが、タバコを売っているお店では、未成年と思われる(と言うか30歳以下?に見えたら)お客には身分証名証の提示を求めなければならない。これは単なる建前的な規則ではない。州政府は時々、アンダーカバーの未成年者を使ってタバコを買い求めさせ、その店の店員がお客のIDを確認するかどうか、抜き打ちテストをするのである。店員がID確認を怠ると後で警告の手紙が送られてくる。「○月○日、○時○分、あなたのお店は未成年者にタバコを売りました」とかなんとか書かれている。これが2回だったか?続くと罰金500ドル也が店に課される。
バンクーバーに来られる日本の喫煙者の皆さん! 喫煙環境は厳しくなってきているので、そのおつもりで・・・。
2002年06月29日 更新
2004年01月20日 更新
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その5 クリスマス
準備編
いよいよクリスマスが近づいて来た。ここカナダも一応キリスト教国なので、クリスマスは1年で最大の祝日となる。今日はカナダでのクリスマスについて紹介しようと思う。まずは、クリスマスに備えて準備する物とは・・・。
その代表的選手は何といってもクリスマスツリーである。本物のモミの木を使う家庭は多い。この時季になるとスーパーなどの建物の外に積み上げて売られている。高さは1m70cmほどあり25カナダドル程する。これを車の屋根に積み上げたり、トランクルームに突っ込んで家に持って帰るのだ。古い映画だが「When
Harry met Sally」(邦題=恋人たちの予感)の中で、クリスマスツリーを引きずりながらNYの街を歩いているメグ・ライアンの姿が私の記憶に残っている。
クリスマス用の照明、ライトアップも定番と言える。簡単に済ますなら窓枠に沿ってワイヤー状のライトを取り付ける程度だが、家の屋根の形に沿ってライトをピカピカさせている家もよく見かける。さらに凝っている家庭になると、ここは遊園地か?と思う程の飾り付けを家と庭セットでおこなって写真が新聞に載ったりする。また、クリスマスライトの飾りが綺麗な家々を周るバスツアーなる物も登場する。
次にクリスマスカードである。クリスマスカードは日本の年賀状に当たるものである。家族や親戚同士、親しい友達の間、職場で、会社からお客へとクリスマスカードが送られる。送られて来たカードは見せびらかすかのように部屋中に飾って置かれる。よくあるのが窓ガラスのブラインドに挟んで並べる方法である。また、壁の高い位置からひもを吊るして、そこに掛けるという方法もある。日本でも公開が始まった「ハリー・ポッター」の映画でも、寮生活をしているハリーの部屋では、そういう風にカードが飾られていた。
さて、クリスマスの準備でいちばん厄介なものはプレゼントではないだろうか?日本でのクリスマスプレゼントは親から子供への一方方向、または恋人同士での交換が一般的だと思うが、こちらでは殆ど家族全員の間でプレゼントを交換するのである。子供から親へ、家族同士で送リ合うので数が半端でないのだ!毎年12月24日、テレビのニュースで必ず出てくる場面がある。ショッピングモールで最後までクリスマスプレゼントの買い物に追われている人達へのインタビューだ。ちなみに、クリスマス前の数週間、モールは遅くまで開いている。
クリスマス当日の過ごし方については、また後日お話しようと思う。
2001年12月01日 更新
2004年01月20日 更新
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その6 身障者
英語では一般にDisabled Personという。さて、日本も最近では良くなっているとは思うが、アメリカ、カナダの身障者に対する設備は、日本と比べるとかなり進んでいる。
まず気が付くのが駐車場である。スーパー、ショッピング・モール、公共の駐車場なら必ず、入り口からいちばん近い便利な場所に障害者用の広めの駐車スペースが幾つか設けられている。そこには市(か州?)が発行した障害者用のパス(身分証明書のように名前も記入されている)を提示している車しか駐車することができない。道路にあるパーキング・メーターも同じで、交差点からいちばん近い場所に障害者用のメーターがある。勿論、コインは入れなければいけない。
次にお手洗いである。どんな場所に行っても、車椅子のまま入れるようにスペースをかなり広くとった個室が必ずある。インターステイトなどの高速道路にあるレスト・ストップのトイレなんかでも、そうした設備がきちんとある。こちらの方は空いていれば誰が使ってもかまわない。トイレの間取りの都合か?いちばん奥か手前にある事が多い。
そして市バス。全車両とはいかないが、車椅子で乗車出来るようになっているバスもかなり多く走っている。私は殆どバスは利用しないが、それでも以前に車椅子の人が乗ってきたのを見た事がある。
車椅子の人がバス停でバスを待っている。バスが停留所に停まると、運転手は前の方の席に座っているお客に立ち退くように指示する。そこは折り畳みの座席になっていて、通路を挟んで左右に1台づつ車椅子が入れるようになっている。乗客は当たり前のように席を立つが、運転手も日本式に「すみませんが席をお譲り下さい」のように頼むということはしない。「席空けて!」と有無を言わせない言い方である。
バスの車体の中に収納されていたリフトのような物がせり出て来る。
これを使えば3段位あるステップを乗り越え乗車できるのだ。車椅子の乗客は背中をバスに向けてリフトの上に乗り、所定の位置に後ろ向きのまま移動する。そうすると車内ではちゃんと前向きに座っていられるからだ。備え付けのベルトを車椅子に掛けたり外したりするのは運転手が行う。で、降りる時には車椅子は前向きのまま降りていった。
これを見ていて印象的だったのは、車椅子の乗客がとても自然な態度でいたことである。車椅子で乗り込んで来る事に対して
「ご迷惑おかけしてすみません」みたいな様子は全然見せず、「私は障害者ですから迷惑をかけても当たり前」みたいな態度もなかった。普通の乗客と同じように乗って来て、普通の乗客と同じように降りて行く。社会がそういう人達の事を特別な目で見ないで、自然な事として受け入れているという事だろうか?
映画館もそうだがカジノやビンゴのような娯楽の場所でも、車椅子に乗ってやって来る人は沢山いる。カジノには車椅子用の高さの低いテーブルがあって、車椅子の人でもカードが見やすいようになっている。私が働いているカジノにも、点滴の針を腕に刺したままの人、酸素吸入の透明の管を鼻に入れている人、動かせるのは指と口くらいで、首にぶら下げたウエストポーチから自分でお金を出すこともできない人などが来る。
車椅子の人がこんな所にまで来るのか?と最初はびっくりしたが、よく考えてみると、それは差別的な物の見方とも言える。車椅子だから駄目とか、車椅子だから無理というのは、健康な人間の排他的な考え方かもしれない。
2001年12月13日 作成
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その7 運転免許
アメリカ、カナダの運転免許証(Driver’s
License)は国ではなく州政府が発行している。つまり、カリフォルニア州住民とワシントン州住民では所持している運転免許証は違うのだ。
ここでは私の住んでいるブリティッシュ・コロンビア州の運転免許取得方法についてお話しようと思う。
まず、日本とは違って誰もが自動車教習所に行くわけではない。全くの初心者(年齢は16歳以上)でも、いきなり路上に出て運転(練習)する事ができる。これを「Leaner
Stage」と言うそうだ。「Leaner Stage」では、まず筆記試験にパスしなければならない。問題は50問、コンピューターで行われる選択式のものだ。英語、アラビア語、広東語、クロアチア語、インド語、ペルシャ語、フランス語、北京語、ロシア語、スペイン語そしてベトナム語が選べる。費用は15ドル。日本語は無いが辞書を見ても良い。試験は30分位で終わるように構成されているが、別にもっと時間がかかっても構わない。
次に視力検査。これは数分で終わる。筆記、視力検査にパスすると「Learner’s
License」なるものが発行され、その費用に10ドルかかる。
「Leaner Stage」での運転条件には次のような点がある。
- 19才以上でクラス5(注1)以上の運転免許所持者が同乗しなければならない。
- 血液中のアルコール値はゼロである事。
- 同乗出来るのは2名が限度。
- 午前5時〜午前0時までの間しか運転出来ない。
- 初心者マーク(注2)を表示する。
(注1)クラス5はいわゆる普通免許の事
(注2)オレンジ色のハガキサイズで、黒字でLと書かれている。
「Leaner Stage」の期間は最低6ヶ月だが、ドライビング・スクールに通った場合は3ヵ月に短縮される。つまり、家族や友達などが同乗して教える場合は6ヵ月だが、プロの指導員に付いて練習した場合は3ヵ月で済むのだ。
ただ、ドライビング・スクールといっても、日本の教習所とは全然違う。こちらではいきなり路上で練習するので、事務所1つと車が何台かあるだけだ。ドライビング・スクールの車には運転席、助手席ともにハンドル、ブレーキが付いている。日本ではハンドルがあるのは運転席のみだったように記憶しているが、初めて運転する人に100%ハンドルを任せるのはやっぱり危険だからなんだろう・・・。
「Leaner Stage」を終了すると、クラス7の免許の路上テストを受けることができる。試験に使う車は持ち込みだ。友人の車でも家族の車でも何でもいいが、車がない人はドライビング・スクールの車を借りられる。テストの費用は35ドル。テストにパスするとクラス7の免許証(免許証発行料は40ドルだが、65歳以上は17ドル)がもらえる。ここからを「Novice
Stage」と呼ぶ。Noviceとはビギナーの意味だ。
「Novice stage」での運転条件には次のような事がある。「Leaner Stage」と比べると、制限は殆ど無い。
- 血液中のアルコール値はゼロである事。
- Nマークを表示する(注3)。
(注3)Nマークというのは(注2)と同じだが、こちらは緑色に黒字でNと書かれている。
18ヵ月間の「Novice Stage」を終えると、いよいよクラス5の路上テストを受ける資格がもらえる。クラス5の路上テスト費は50ドル。これに合格してやっと本免許(発行費40ドル)がもらえるというわけだ。
以上、聞きなれない名称が出てきて分かり難かったかもしれないが、これは数年前に改定になったものだ。それ以前は「Leaner
Stage」と「Novice Stage」が無く、誰でもいきなりクラス5の路上テストを受けることができた。それに合格すれば免許がもらえたのである(アメリカも含めて、他の州ではそういう所はまだまだ多いと思う)。
でも、それでは問題があったのだろう。友達にちょっと教えてもらった程度の運転技術と知識では、うまいことテストにパスしたとしても事故も多発するであろうし、車の修理に保険を使う人が増えるため、保険を使ったことがない人間の基本保険料までが上がるのである。
さて、上記の金額で運転免許取得にかかる費用を計算すると、全てのテストに一発で合格した場合、テスト代や免許証発行代全て込みで190ドルという数字が出てくる。1カナダドル=100円で計算しても19000円。物価の違いはあるが、随分と安いもんだ!ドライビング・スクールのレッスンを取ったとしても1時間30ドル程なので、10回位レッスンを取ったところで大した金額にはならない。安いというのは良い事ではあるが、誰でも(お金のない高校生等)費用を出せるので、簡単取得に拍車をかけているとも言えるかもしれない。
2001年12月16日 作成
2004年01月20日 更新
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その8 コンドミニアムとアパート
コンドミニアム(以下、コンドと省略。この呼び方は実際に使われている)とアパートの違いは、日本で言うとマンションとアパートの違いのようなものである。外観的には”コンド=高い建物、新しい”
、”アパート=低い建物、古い”みたいな感がある。が、大きな違いはその設備にあるようだ。
コンドには3種の神器ならぬ5種の神器(Five
Appliances)というものが存在する。冷蔵庫、ストーブ、ディッシュ・ウォッシャー、洗濯機と乾燥機である。
冷蔵庫はごく普通の冷蔵庫だ。日本の冷蔵庫のように、チルドルームとか野菜室などに扉が分かれているのはあまり見かけない。扉が引き出しになっているタイプも殆どない。冷蔵庫に限らず日本の電気製品の方が細かいところまで考え抜かれていると思う。
ストーブとは日本の石油ストーブ等のことではなく、調理用のレンジを指す。下の部分は大きなオーブンになっている。大抵の場合は電気式だが、火力は結構強い。ガスと比べると安全なんだろうが、電気エレメンツとお鍋の底が触れ合っているため、火を止めた後そのままにしておくと、お鍋の底が焦げてしまうため、また、中華なべが安定しないため、個人的にはあまり好きではない。
ディッシュ・ウォッシャーもカウンターの下に備え付けの大型である。家にあるのを観察したところ、上の段にはマグカップが35個入るようになっている。下の段はお皿等が入るように上段より深さがある。ディッシュ・ウォッシャーには専用の洗剤を使用する。最初、私は知らなくて普通の食器洗い用洗剤を使ったことがある。そしたら、すくってもすくえきれない程の量の泡が出てきて始末するのに非常に苦労した。うちは2人だけだし、それ以来1度も使っていない。
次に洗濯機と乾燥機。普通、この2つはクローゼットのドアと同じような扉で隠れている。
ここは洋服を掛けるところかな?と扉を開けると、洗濯機と乾燥機が左右に並んでいるか、又は上下に設置されている。
この他コンドには屋内駐車場、ジムやプールなどが付いているのが普通だ。
ところで、これがアパート(殆どは賃貸)になると、冷蔵庫とストーブは付いているが、ディッシュ・ウォッシャー、洗濯機と乾燥機は付いていない。食器洗いは手ですれば済むし、洗濯は普通、各階または1階にランドリーがあって、1ドルか2ドル位で洗濯機と乾燥機が使えるようになっている。
全体的に見て、日本のマンションやアパートと比べたら設備はかなり整っているんじゃないかと思う。日本では冷蔵庫なんて付いていないよねぇ?
暖房も完備されているので、暖房機を買う必要もない。クローゼットも各部屋に1つは付いているので、普通は別個に大きな洋服ダンスはいらないだろう。
また、賃貸の場合の敷金、礼金のたぐいは存在しない。契約時に家賃1ヵ月分のデポジットを取られるが、汚したり何かを壊したりしなければ部屋を出る時にデポジットは返却される。つまり、きれいに使えばいいのである。
2001年12月20日 作成
2004年01月20日 更新
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その9 クリスマス
その5ではクリスマス準備編を書いたが、ここではクリスマス当日(またはイブ)について触れようと思う。
まず、クリスマスイブは祝日ではない。会社によっては休みのところもあるが、スーパー、ショッピング・センター、レストラン等は開いている。ただし、5時とか6時で早仕舞いしてしまうところが多い。今年、クリスマスイブにモールに出かけた。駐車場は非常に混んでいて、普段はいない警備の人が交通整理をしていた。また、ボクシング・デーに先立ち、30〜50%オフ
などのセールをしているお店も目立った。
12月25日は祝日である。ほぼ全ての店は閉まっていると言っていいと思うが、バンクーバーの場合、ヤオハン(元日系、現在中国系のスーパー)などの中国系のショッピング・モール、レストランはクリスマスでも開いていて、しかも大混雑している。
こちらのクリスマスは家族や親戚が集まって祝うものである。日本のお正月に家族親戚が集まるのと似ている。結婚している場合、夫側の家族と妻側の家族と別々に集まることもあるので、イブは夫側、25日は妻側と連日のディナーになる事もある。うちは昨日のイブは夫の弟の家で夫側の家族15人程が集まった。食事のメニューは定番のローストターキーのクランベリーソース添え、マッシュポテトに温野菜などである。夫の家族は中国系だが、中国を思い出させるような料理は何もない(日本人の家庭はお寿司が出て来たりする)。皆、カナダ生まれカナダ育ちだからだろうか?
ディナーが終わり、食器をディッシュ・ウォッシャーに入れるとデザートになる。ディッシュ・ウォッシャーについてはコンドミニアムで触れたが、弟の家の新品のは内部がステンレス製だった。私の家にあるのも職場の休憩室にあるのも、古いのか安いのか?内部はホーローになっている。また、アメリカ、カナダで出てくるデザートはパイ類が多い。暖めたアップルパイにアイスクリームをドーンと載せて食べるのだ。
お互いの近況報告をしながらおしゃべりをしていると、「そろそろプレゼントを開けましょうか?」ということになる。これを「Let’s
do Santa!」とか「Do you wanna be a Santa?」
とか言っていた。つまり、誰かがサンタになって、皆が持ちよったプレゼントを各自に配って回るという意味らしい。また、送り主が直接1人1人に配って歩く場合もある。
この写真は弟の家のものであるが、この写真はクリスマスだけでなく、カナダの一般的な家庭のリビングの様子を知る点でも参考になると思う。クリスマスの話題から外れてしまうが・・・、
(1)窓にはブラインドを使う家庭が多い。カーテン派は少ない。
(2)カウチや椅子の上には布が掛けられているが、これは古くなった家具を長く使うためのものだ。
(3)天井には照明がない。ランプを置く間接照明である。
(4)暖炉がある。暖炉はこの家のように薪を燃やす本物と、最近の家やコンドミニアムに使われるガスの物がある。ガスでも薪が積み上げられているようなデザインになっている。
(5)床にはラグが敷かれている。これもまた、最近の家やコンドは最初からカーペットが敷き詰められている事が多いが、ハードウッドの床の場合、畳1.2枚分位の大きさのラグを利用する。
さて、クリスマスっぽい部屋の飾り付けと言えば、まずはクリスマスツリーだ。この写真のツリーはかなり大きい。高さが2m位あるが、毎年いちばん大きのを選んでくるのだそうだ。ツリーの下には各自が持ち寄ったプレセントが置かれている。
右側にある暖炉には、赤いクリスマス・ソックスが吊るされているのがお分かりになるだろうか?
弟の家は奥さんと2人暮らしなので、ソックスも2つだけだ。各々の名前がアップリケのように書かれていた。もちろん、ソックスの中にプレゼントを入れようとしても大きな物は入らないので、これはただの飾り。
ちょっと見にくいが、暖炉の上にはイエスの誕生をテーマにした陶器の人形も飾られている。丁度、お雛様を毎年飾るように、クリスマスの時期になると登場する人形達である。
こういったクリスマス用の飾り付けは、新年を迎えるまではそのまま置かれている。
ところで、Midnight
Massという言葉をご存知だろうか?24日の夜中、つまり25日午前零時に教会で行われる集まりの事である。まぁ、時間はきっちり零時と言うわけではなく、24日の夜11時位から教会には人が集まってくる。毎週日曜日に教会に通わない人でも、Midnight
Massには出掛けるという人は少なくないようだ。日本人が大晦日の夜、初詣に出掛けるのと似てはいないだろうか?
2001年12月25日 作成
2004年01月20日 更新
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その10 祝日と祝日労働
これを書いている今、日本はお正月真っ只中のはずだ。日本だと大方の会社は年末年始は休みになるが、カナダのお正月は12月30日の日記に書いた通りだ。休日は1月1日だけ、大晦日も1月2日もほぼ平常通りである。が、日本でもお正月に働いている人達がいるように、この国でもクリスマスや元旦などの祝日に働かなければならない人がいる。今回はカナダの祝日と祝日労働事情を取り上げてみようと思う。
アメリカもカナダも祝日は州によって異なる。私の住んでいるブリティッシュ・コロンビア州(以下 BC州と省略)の場合、州政府が定めた祝日は年に9日ある。
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New Year’s Day
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Good Friday
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Victoria Day
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Canada Day
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British Columbia Day
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Labor Day
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Thanksgiving Day
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Remembrance Day
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Christmas Day
1と9は祝日の中でも特別と言える。他の祝日には営業しているスーパーやショッピングモール、レストラン等もこの2日だけは殆ど全て閉まっている。開いているのはセブン・イレブンやデニーズ、ガソリン・スタンド(日本のコンビニ的なお店が併設)くらいのものか?また、バンクーバー(特にリッチモンド市)に限って言えば、中国系のモールやレストランはほぼ100%営業していて、しかも混みあっている。
2.
キリストの受難日、イースター(復活祭=3月21日以降の最初の満月に次ぐ日曜日)の2日前に当たる。
3. イギリスのビクトリア女王の誕生日、5月21日。
4. カナダ建国日、7月1日。
5. BC州の建州日、8月の第1月曜日。
6. 日本の勤労感謝の日に相当。9月の第1月曜日でアメリカ、カナダで共通。
(学校はこの日まで夏休み。つまり、レイバー・デーが早く来るか遅く来るかによって夏休みの長さが変わるのである。)
7. 感謝祭。カナダの感謝祭はアメリカの感謝祭よりも1ヶ月ほど早い。
8. 第1次、第2次世界大戦に参加、死亡した人達の霊を祭る日。
(イギリス、カナダ共通の祝日で11月11日またはその前の日曜日。アメリカでは同じ日をVeterans
Dayというが、こちらはベトナム戦争や湾岸戦争で亡くなった人も含まれているんだそうだ。)
さて、BC州では上記の祝日は働いても働かなくても1日分の賃金が出る。普段1日8時間労働ならば8時間分が、6時間ならば6時間分が支払われる。そして祝日に働いた場合、実際に働いた時間の1.5倍の賃金が支払われる。つまり、本来ならば国民は休日でのんびりできるはずのところが、時代の流れと共に営業する会社や店舗が増えてきたので、それなら会社は1.5倍の賃金を払いなさい!ということらしい。
なお、ボクシング・デーは祝日ではないが、今私が働いている会社も以前働いていた会社も、ボクシング・デーを祝日扱いとしている。働いていては買い物に行けないのだから、快く働いてもらうため会社側が出す交換条件的の要素があると思われる。
2002年01月01日 作成
2004年01月20日 更新
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その11 ブライダル・レジストリー
ブライダル・レジストリー( Bridal Registry)とは、「結婚の贈り物に欲しい物」のリストである。まず、花嫁になる人がお店に行き、その店にある商品の中で欲しい品物を登録する。プレゼントを買う人達はブライダル・レジストリーを見て何を贈るかを決める、という仕組みになっている。
ブライダル・レジストリーの登録をしているお店の代表的なものはデパートである。他には食器専門店や家具小物を扱うお店などのウインドウに「Bridal
Registry」とサインが出ていたりする。
デパートの場合、大抵、食器売り場の近くなどにブライダル・レジストリー・カウンターがあって、結婚前の女性がそこで申し込みをする。女性は店内をくまなく回り、お祝いに欲しいものを細かく用紙に記入していく。デパート側はそれをきちんと整理してリストを作成するのだ。最近ではブライダル・レジストリー
もコンピューター可している。店内にある専用のコンピューターに花嫁の名前等を入れるとするとその人のリストが表示されるので、それをプリント・アウトして何を買うか決めるのだ。
具体的にブライダル・レジストリーにはどんな商品が挙げられるのか?その代表選手は”食器一式”だ。古い話だが映画「ドライビング・ミス・デイジー」の中で、主人公が「メイドが私のウエディング・チャイナを壊した」というセリフを言っていた。「ウエディング・チャイナ、そういう呼び方をするのか!」と知った
。
カナダでの有名ボーン・チャイナの値段は日本と比べれば格安であるが、それでも一式揃えるとなると結構なお値段になるのでブライダル・レジストリーが大活躍をする。リストにはどのブランドの何のパターンで(例えばミントンのハドンホールの柄)、カップとソーサーが6組とか、ディナープレートが6枚とか、コーヒーポットが1つ、
シュガーポットとクりーマーが各1個・・・、と細かく希望する品物が載っている。プレゼントを買う側はその中から予算に合った物を選べる。例えば、誰かがコーヒーポットを買うとする。リストにはマークが付けられ、ポットは既に購入されたことが後の買い物客に分かるようになっている。誰かがディナー・プレートを2枚だけ買うと、リストには2枚は購入済みというマークが付けられ、誰かがあと4枚買ってくれれば希望枚数が揃うという仕組みなのだ。
この他にもタオル類や寝具、キッチン用品など何でもリストに載せることができる。
ブライダル・レジストリーを利用してくれるとお店側も儲かるので、それがある程度の金額になると、店側は登録をした人にお礼の意味でカトラリー(Cutlery)のセットなどを贈ることが多いようだ。「ご利用頂きまして有り難うございます」といったところか?
ブライダル・レジストリーの制度は便利かつ良いものだと私は思う。プレゼントを買うのに何がいいか迷う事も無く、自分の予算内で相手が欲しいものを贈ることができるので合理的だ。貰う側もいらない物や趣味の合わない物を贈られることがない。
もし、海外で誰かの結婚式に招かれることがあったら、本人やその友人等に「何処のお店でブライダル・レジストリーを登録したか?」聞いてみると良い。
2002年01月10日 作成
2004年01月20日 更新
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その12 経口避妊薬
経口避妊薬なんて言葉は使ったことがないが、一応題名なので正しい言葉を選んだ。これから書くのは、日本では1999年に解禁になったらしい”ピル”の事である。
ピルは英語で Birth Control Pillと言う。世界では1960年に許可されたそうなので、40年以上の歴史がある。ここカナダでもピルを服用することはごく一般的の事のようだ。成人女性の何パーセントの人がピルを使っているのか?詳しいことは知らないが、私の周りを見渡しても未婚で大学生の友人もピルをのんでいたりする。ファッション雑誌にもピルの宣伝広告がデカデカと載っている。
一般的だとは言っても人前でおおっぴらにピルを出してのむ人はいない。が、ピルという言葉は声をひそめて話さなければいけないような部類の言葉でもないらしい???(時と場合によるのか)。
最近、会社でこういうことがあった。30代前半の女性2人が「子供がいると大変なんだよー」などと大きな声で話していたら、その場にいた男性が「今度はちゃんとバース・コントロール・ピルを使うんだよ!」と、これまた周りに聞こえるような声で言った。軽い冗談の気持ちが含まれていた思われるが、その場の雰囲気が少しでも悪くなることはなかった。
別の時は少し違った。私がピルと同じようなパッケージに入った薬を鞄から出して服用した時、同年代ではあるが顔見知り程度の男性が「あれっ、ピルのんでるの?」と聞いてきた。そしてすぐに「違うよね!
ごめんね」みたいに私に謝った。
さて、私がピルについてまじめに考えるようになったのは婚約した時だった。当時はカナダの生活については知らないことだらけで、避妊=ピルなんていう認識もなかったが、私のBridesmaidになってもらった友達は非常に面倒見の良い人で、「ちゃんとドクターに行ってピルをもらうように!」といろいろと教えてくれたのだ。
話は外れるが、Bridesmaid(ブライズメイド)とは花嫁の付き添い人のことをいう。日本でいえば仲人に相当するかもしれないが、仲人はかなり年上の人にお願いするのが多いのに対して、ブライズメイドは同年代の親友や姉妹が務める。思い出せる例として「赤毛のアン」ではアンはダイアナのブライズメイドを務めた。ちなみに、花婿の付添人はBest
Manと呼ばれ、これも花婿の親友がする場合が殆どだ。
ピルがいくら一般的だとは言っても、いきなりドラッグストアに行って手に入れることはできない。まずお医者さんに行き処方箋を書いてもらい、それをドラッグストアに持って行く。カナダでのピルの値段は、3ヶ月分で40ドル程である。保険を利用すると私の保険では40ドルが5ドルになる。日本での値段よりはずーっと安いのではないだろうか?
さて、ピルの副作用を心配する声はあるようだが、私は医学的な詳しいことは分からないものの、医者の指導の元で使われるのだから大丈夫なのではないかと思う。私が今回ピルというテーマを取り上げたのは、ピルについての賛否や宣伝等ではなく、カナダのピル事情を知ってもらおうと思ったまでのことだ。
2002年01月17日 作成
2004年01月20日 更新
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その13 コンセントとプラグ
まず初めに断っておくが、コンセントと言っても英語を話す人には絶対に通じない。コンセント(Consent 発音も日本語のアクセントとは違う)は同意するという意味で、Agreeという言葉と似ている。日本語のコンセントが意味するところの英語はアウトレット(Outlet)である。買い物に行く、あのアウトレットと同じ言葉だ。
日本の電圧は100ボルト、アメリカとカナダの電圧は110、120ボルトと多少の差はあるものの、コンセントとプラグの形は日本と同じなので日本の電気製品はそのまま使える・・・、と一般的に言われている。それは本当だろうか?
結論から言うと答えはYESで、日本から持ち込んだ電気製品は殆どの場合アメリカとカナダで使用可能である。
※
が、日本国内用に作られている電気製品を海外で使用して問題が起きてもメーカーは保証などしてくれないし、実際に火を吹いたとかモーターが壊れたという話も聞く。短期間の旅行であれば、ドライヤーとかシェーバーくらいなら一応は使えるというわけだ。
ところが、コンセントとプラグの形がアメリカ、カナダと日本では同じというのは正しくはない。右の写真の1はアメリカ、カナダの物、2は日本の物であるが、○で囲んだ所をよーく見て頂くと分かるように若干の違いがある。
アメリカ、カナダ製はプラグの片方の先が幅広になっているのである。それに対して日本製は両方とも同じ形、サイズになっている。
3はコンセント(アウトレット)の写真だが、向かって左側の差し込み口が右に比べると大きいのがお分かりだろうか?つまり、プラグをコンセントに差し込む際、幅広の方をコンセントの幅広の方に入れなければ入らないようになっているのである。目で確認せずに適当に入れようとすると入らない・・・ということが起きる。小さな子供がいじると危ないので片方が幅広になっているという説もあるが、真偽のほどは分からない。
そして、日本のプラグのサイズはアメリカ、カナダのプラグの細い方のサイズと同じである。ということは、アメリカやカナダで電気製品を購入して日本で使う場合、プラグの幅広の方が日本のコンセントに入らない・・・ということが起きるらしい。
さて、写真の3にあるようにアメリカ、カナダのコンセントは三つ穴である。
写真の1にあるようにプラグの形は二股なのにどうして三つ穴なのか?
私は電気関係には全く詳しくないが、三つ目の穴はアースの役目をしているそうである。例えば、私の家にある電気製品で三股プラグをしているのはコンピューター、電子レンジ、電気ヤカン、冷蔵庫等である。どうやら、水まわりという点が関係しているらしい。
このように普通はコンセントは差し込み口が3つなのだが、1度だけ2つしかない日本のようなタイプに出会った事がある。
イエローストーン国立公園のキャビンの1つで室内のコンセントが二つ穴だったため、持参した電気ヤカンでお湯が沸かせなかったのだ。安くてボロなキャビンだったからなのか?後にも先にも差し込み口が2つしかないコンセントにお目にかかったことはない。
今回、これを書くに当たって家中のコンセントやプラグを確認してみたが、プラグの形が幅広になっていない物も実は存在した。ヘヤードライヤーと電気歯ブラシである。どちらもカナダで購入した物だがプラグの形は日本の物と全く同じだ。たまにはこういう例外もあるのだろうか?
2002年03月08日 作成
2004年01月20日 更新
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その14 カナダの公用語
カナダの公用語は英語とフランス語の2つである。カナダに来る前のこと、私はカナダ人は皆、英語とフランス語の両方が話せるのかと思っていたが、少なくとも私の住んでいるブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州と略)では、英語しか話せない人が圧倒的に多い。他の州に住んでいる人もケベック州辺りを除けば同じようなものだと思う。
ところが、あらゆる物の表示は英語とフランス語の両記が基本である。カナダで売られる商品には英語とフランス語のラベル、表示を付けなくてはいけないと(たぶん法律で)決っているからだ。
左下の写真は同一のシリアルの箱の裏表を写したものだが、それぞれ表示が違っているのがお分かりだと思う。向かって左側が英語、右側がフランス語である。これと全く同じ商品がアメリカにもあると思うが(基本的にカナダとアメリカでは同じ商品が出回っている
)、アメリカのパッケージは表示が英語のみという違いがある。例えば・・・。
右上の写真はカナダとアメリカで販売されている同一商品である。が、カナダ製品(左)とアメリカ製品(右)では微妙な違いがある(小さな画面でご覧の方は、サムネイルをクリック後、もう1度写真の右下をクリックして下さい)。
1の番号のところは英語でHOMEOPATHICとあるが、2の番号の箇所はそれがフランス語になっている。丸で囲んだところも同じである。
余談だが、Marlboroというアメリカ製のタバコがある。日本人や中国人には人気があるのだが、カナダ国内には空港の免税店も含めてMarlboroを売っているお店はない!Marlboro
のパッケージにはフランス語の表示がないからである。Marlboroがカナダ用のパッケージをわざわざ作らないのは、カナダにおける販売シェアを期待していないというのが理由のようだ。
上の方で「あらゆる物の表示」と書いたように、英語、フランス語の2ヶ国語表示は商品のみではない。政府関係の書類(税金の申告書、パスポートの申告書、郵便局の宛名書きラベルなど)は勿論、銀行関係(ATM
機 も初めに英語とフランス語から選択するようになっていたりするし、口座等を開く場合の書類もそうだ)、旅行者の方々はカナダ入国の際、英語とフランス語のサインを目にすることだろう。
さて、ケベックという州がある。カナダの東側に位置しているこの州は、昔フランスの植民地だったため、現在でも住民の日常言語はフランス語である。どれくらいの割合の人が英語を流暢に話すのか知らないが、英語があまり話せない人も少なくないようだ。以前働いていたお店に英語の勉強を兼ねてBC州に滞在していたケベック出身の18歳の女性がいたが、彼女は発音はきれいなものの語彙が少なく「これは何という意味か?」とよく私に質問してきた。どうしてカナダ人のあなたが日本人の私に英語の質問をするの?と思ったものだ。
また、バンクーバーにあるフランス語の小学校のクラス(両親のどちらかがフランス語が第1言語だとか、ケベック州から転入して来た子供などに限って通学できるらしい)に日本の文化等について紹介する機会があったが、スラスラ英語を話す生徒も勿論いたものの、上手く話せない生徒も少なくなかった。
ちなみに、フランス語圏ケベック州では英語圏カナダから独立しようという動きもある。1995年には独立の可否を州民に問う投票が行われたが、50.5%の人がNO、45.5%の人がYESと投票したため、ケベックは今でもカナダの州のままである(これは議会を通過した案だったので、州民投票でYESが過半数を越えれば独立は実現された)。将来、もしケベック州が独立することになれば、カナダの公用語も英語だけになるのであろうか?
2002年03月14日 作成
2004年01月20日 更新
2005年05月04日 更新
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その15 チップ
カジノのページでも触れたが、チップとはCHIPではなくTIP、つまりティップと発音するが、日本ではチップで通っているのでここでもチップとする。
ウェブサイト
「地球の歩き方の掲示板」では、チップに関する質問を度々目にする。どの程度の額を払えばいいのか?といったような質問が主だが、払い過ぎなのでは?といったコメントも時々見かける。チップの払い過ぎに関する疑問は、偏った物の考え方や正しい情報に無知
であることに原因があるように思う。長い間、ガイドブックに載っているチップの額にかなり忠実に従ってきた日本人観光客が段々と旅慣れてきて、
「今まで、我々はチップをはずみ過ぎていたのではないだろうか?」
と考え始める・・・。確かにそれはあると思う。ガイドブックに載っているチップの額は多めに書かれているからだ。そこで今度は「サービスが悪ければあげなくてもいいんだよ
」とか、「おいしくなければあげなくてもいい」みたいな意見が出て来る。事実、ヨーロッパではチップの習慣が廃れてきているそうだが、ここではアメリカ、カナダのチップ制度の背後にあるものを知って頂きたい。
北米でのチップを稼ぐ仕事の賃金(殆どは時給)は非常に低い。職種によっては一種の技術を必要とするので、そういう場合はものすごく悪いとも言えないが、例えばウエイトレスは最低賃金、またはそれに毛が生えたような額である。最低賃金は州によって違うが、アメリカには
国が定めた額
(どういうわけかリンク先は時々表示されない。アドレスはhttp://www.dol.gov/esa/minwage/main.htm)があって、現在それは5ドル15セントだ。殆どの州がこの額を採用している。
また、私の住んでいる州の最低賃金は現在8ドルだが、こちらはお安いカナダドルである。学生のアルバイトならともかく、この額だけでは家族が生活して行くことは不可能だ。そこで、チップによって足りない部分を補うという社会の仕組みになっているのである。
こういう点を考えると、「サービスが悪いとチップは無し」とか「チップはサービスに対する代価である」という意見には全面賛成はしかねる。現実問題として、チップはそれが要求される場所では「必ず置かなければならない性質のもの」だと私は思う。
「サービスが悪い」という言葉の「悪い」とは曖昧な言葉であるが、チップを払わない悪いサービスとは一体どんなものだろうか?注文した物が出てくるのに時間がかかった、オーダーしていないものが出て来た、お皿等がきれいに洗われていなかった・・・などは必ずしもチップを払わない理由にはならない。それは、サーバーのミスだとは限らないからだ。
何回も呼んでいるのに無視される・・・みたいな失礼なことがあれば、チップを払わなかったり、その額を普通より少なくすることは納得できる。が、そのような場合、こちらの人は直接文句を言うものだ。日本人は何か気に入らないことがあった店には”今後、一切利用しない(この場合はチップを払わない)”という抗議の方法を取るかもしれないが、アメリカ人は面と向かってサーバーに、またはマネジャーに文句を言い抗議をする。それで事が収まればその店はまた利用するし、チップに影響が及ぶこともないと思う。「サービスが悪い=チップ無し
」と言うのは、北米社会ではあまり通用しない日本人的な考え方なのではないか?と感じる。
また、チップには所得としての申告義務がある。タックス・フリー(所得税なし)ではないのだ。税務所(またはそれに相当する機関)は「この職種はこれくらいのチップを稼ぐ」というデーターを持っているので、あまり少なく申告すると所得税の追加徴収となる。というわけで、チップを払わない方針のお客が増えると、実際には大してもらっていないのに、税務署が「そんなはずはない!」
と疑ってかかるということもあるかもしれない。
さて、チップを稼ぐ職種には勿論、メリットとデメリットの両方がある。メリットはチップを全額申告する人はいないので、所得税をセーブできるという点だ。上の段落で書いたことと矛盾するように聞こえるかもしれないが、月給や時給でもらう賃金はその内訳が記録に残るため、正確なパーセンテージでかなりの額の所得税が天引きされる。が、チップはキャッシュ払いなので記録が残らない。従って、時給でもらう同額の賃金と比べて、払う税金の額が少ないのである。
デメリットは、不安定である点である。時給や月給は非常事態(
例えばペイカット)が起こらない限り、毎月一定の額の収入が保障されるが、チップはそういうわけにはいかない。良いお客さんに恵まれてチップの額が上がることもあれば、その逆のケースもある。また、失業手当等をもらう場合、その額はチップ以外の基本給から割り出されることが多い。失業保険は基本給から天引きされるからだ。つまり、保険が下りても金額はかなり少ないと言える。
最後にチップの額について少し触れておくが、ガイドブック等を参考にしてその額より少なめにしておけば、それが現地の人が一般的に払う金額だろう。例えば、ガイドブックに10〜15%とあれば10%で良いし、15〜20%とあれば15%にしておけば充分だ。細かく言えば10%という額も税金が加算される前の額の10%で、税金に対してチップを払う必要は全くない。また、利用するホテル、レストランのランクが上になればなるほど、それなりにチップも多く要求される。チップは要求されるものではないはずだが、格式のある場所ではそれなりの額を期待されるのである。
2002年05月19日
作成
2004年01月20日 更新
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その16 オフィスマナーの比較
ある日本のファッション雑誌で、オフィスマナーについての特集があった。敬語の使い方やメモのとり方、電話での応対、来客があった場合などなど・・・が、Q&A式に取り上げられていた。私は日本では就労経験がないので「ふぅ〜ん。なるほどねぇ」といった気持ちで読んでいたが、これを北米社会に当てはめてみるとどうだろうか?雑誌に載っていた質問と答を適当に抜粋して取り上げてみた。青字の部分は「北米ではこうだろう
」と、私の経験と勝手な推測を基にしたもの。
Q1−電話のベルがなったら、何回目で出ればいいか?
答−2〜3回目で出るのがちょうどいいタイミングで、それ以上ベルが鳴ってから出た場合は、最初に「お待たせいたしました」のひとことを言う。
※ 2〜3回目で良いと思うが、そうでないからといって「お待たせいたしました」と言われることもない。電話が繋がったとたんに「Could
you hold please」と言われることはよくある。電話に出た人が別のラインで通話中なので、ちょっとお待ち下さいということだが、その言い方は語尾が上がり気味のものを頼む言い方ではなく、早口で有無を言わせない感じがある。待たされた後は「Thank
you for waiting . This is ○○speaking . How may I help you」
と続く。
Q2−電話の相手の名前が聞き取れない場合、何度でも分かるまで聞き直していいか?
答−聞き直すのは2回位までに控える。それ以上は相手に失礼になる。
※ 何回でも聞き返される。「M for Michael」とかスペルを確認されるし、声が小さいと「I
can’t hear you. Can you speak up please」とか、それでも分からないと「I
don’t understand」とか言われてしまう。もちろん、私の発音が悪いせいもある。
Q3−相手が自分の名前を名乗らないときは?
答−会社名と名前は必ず聞いてから取り次ぐ。取引も面識もないセールスの人がいきなり電話してくる事もあるので、注意が必要
※ 日本とほぼ同じ。特に下線付きの部分はこちらでもよくあることだ。ちなみに、一般の家庭では電話を取る際に、「
もしもし、○○です」と言ったりしない。ただ「Hello」と言うだけ。電話を掛けた側も「○○ですが・・・」などと名乗らないのが普通で、いきなり「May
I speak to xxxxx」となる。
Q4−エレベーターはお客より先にのってもいいか?
答−「お客の乗り降りが先」が基本だが、自分が先に乗って『開』ボタンを押すという配慮も必要。自分が先に乗り降りする時は必ず「失礼します」と言うこと。
※ そんなこといちいち考える人などいるのだろうか?日本と比べるとレディーファーストが徹底しているが、エレベーターの場合、女性を先に乗せてから男性が乗り込むのが一般的だ。
Q5−名刺交換をする時は?
答−名刺は両手で相手の向きにして差し出す。同時に交換する時は、右手で差し出し、左手で受け取る。
※ 日本のような形式的な名刺交換などしない。両手で差し出すというのは見たこともない。名刺(ビジネスカード)も使うが、「Hi I’m
xxxxx」と名前を名乗り握手をするのが普通。
Q6−同期とランチの約束があるのに、先輩に誘われたら何と言う?
答−次のお誘いにつながるように、明るく断る。
※ こんな事
「どうする?」など考えること自体がない。嫌だったら何でも断る。
また、先輩後輩という縦の関係は存在しない。RISING SUNという映画の中で、ショーン・コネリーが一緒に殺人事件を捜査するウエスリー・スナイプスに向かって、日本の先輩後輩の関係をレクチャーをしたシーンがあったが、ウエスリー・スナイプスがそれを「センパイなんとかアップルパイ!」とちゃかしていたのが可笑しかった。
Q7−突然、残業を頼まれたら断ってもいいか?
答−急な残業は断ってもいいが、「申し訳ありません」とか「明日なら出来ます」などカドがたたないような一言を。
※ 日本のようなクレイジーな残業はない。時間になったらサッと帰る人が多い。
Q8−カゼで熱があるけど、頑張って仕事に行くべき?
答−カゼはまわりが迷惑する。無理せず早く治して!
※ Q6の場合と同じ。何でこんな事が疑問になるのだろう?大抵の人は会社よりも自分が優先。カゼをひいたら当然のように休む。雪が降ったら休む話も参考にどうぞ。
また、この特集にはQ&Aの他に一言コラムみたいのがあって、興味深いものがあったのでここに挙げておく。身だしなみについてだが、「肌が露出していたり、短すぎるスカートはX。光る素材の服もオフィスにはふさわしくない。ミュールも避けたいもの。オフィスでは香水はつけない」などなど。こちらでは服装に関する規制は日本ほどうるさくないので、当然、規制内容も違ってくる。例えば、ピアスは1つだけとか、あごひげを伸ばしてはいけないとか、タトゥー(イレズミ)は服で隠れていればいいとか、ボディーピアス(顔や舌)禁止とかいった具合である。
以上はOL向けに作られた特集のようだが、「日本の社会にはこんな事にもマニュアルがあるのか?随分と細かいのだなぁ・・・」
と感じた。こちらでは問題にもならない次元の事が雑誌に載るのかと思うと、考え方の違い、習慣の違い、文化の違いをしみじみと感じる。日本式にも北米式にも良い点と悪い点があると思うので
どちらが良いとかは言えないが、私は日本式サービスにはなかなか心地よいものもあると思う。
(Q&Aの内容は講談社「With」2002年5月号から抜粋)
2002年06月03日 作成
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